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変革へのメッセージ 事業再構築補助金に注目‼

令和2年度3次補正予算案で「中⼩企業等事業再構築促進事業」が起案されています。

 

予算額1兆1,485億円の超大型の補助事業です。

 

 

1. 事業の概要

 

経済産業省のPR資料「令和2年度第3次補正予算案の事業概要」のp19に本事業の概要が記載されています。

 

 

 

本事業の目的は、新型コロナウイルス感染症の影響が⻑期化し、当⾯の需要や売上の回復が期待し難い中、ポストコロナ・ウィズコロナの時代の経済社会の変化に対応するために中⼩企業等の“思い切った”事業再構築を⽀援するものです。

 

事業再構築の例として、新規事業分野への進出等の新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編⼜はこれらの取組を通じた規模の拡⼤等が挙げられています。

 

具体的にどのような事業が考えられるのでしょうか?

 

本事業に関する経済産業省/中小企業庁のパンフレットには、業種別に事業再構築の事例が掲載されています。

 

 

事業再構築の例

 

 

【小売業】

 

衣服販売業を営んでいたところ、コロナの影響で客足が減り、売上が減少

 

→店舗での営業規模を縮小し、ネット販売事業やサブスクサービス事業に業態を転換

 

補助経費の例:店舗縮小にかかる店舗改修の費用、新規オンラインサービス導入にかかるシステム構築の費用など

 

 

【製造業】

 

航空機部品を製造していたところ、コロナの影響で需要が減少

 

→当該事業の圧縮・関連設備の廃棄等を行い、ロボット関連部品・医療機器部品製造の事業を新規に立上げ

 

補助経費の例:事業圧縮にかかる設備撤去の費用、新規事業に従事する従業員への教育のための研修費用など

 

 

【飲食業】

 

レストラン経営をしていたところ、コロナの影響で客足が減り、売上が減少

 

→店舗での営業を廃止。オンライン専用の注文サービスを新たに開始し、宅配や持ち帰りの需要に対応

 

補助経費の例:店舗縮小にかかる建物改修の費用、新規サービスにかかる機器導入費や広告宣伝のための費用など

 

 

補助額と補助率

 

 

このような事業再構築にかかる多額の費用が、本事業で補助されます。

 

一般的な中小企業者・小規模企業者等が利用できる「中小企業(通常枠)」では、100万円~6,000万円が補助率2/3で補助されます。

 

例えば、事業再構築に3,000万円の費用がかかったとします。この内、2/3となる2,000万円が補助されることになります。

 

 

 

それでは、実際には、どのような費用が補助対象になるのでしょうか?

 

経済産業省/中小企業庁のパンフレットには、補助対象経費の例が掲載されています。

 

 

補助対象経費の例

 

建物費、建物改修費、設備費、システム購入費、外注費(加工、設計等)、研修費(教育訓練費等)、技術導入費(知的財産権導入に係る経費)、広告宣伝費・販売促進費(広告作成、媒体掲載、展示会出展等)等

 

 

注目すべき点は、建物費や建物改修費が含まれていることでしょう。

 

他の補助金、例えば「ものづくり補助金」では、建物費や建物改修費は対象外です。

 

従業員の人件費及び従業員の旅費は補助対象外ですが、建物費や建物改修費が含まれているのは大変有難いです。

 

 

 

2. 変革への挑戦

 

 

本事業は「変革へのメッセージ」です。

 

 

新型コロナウイルス感染症の影響が⻑期化し、中小企業者・小規模企業者の多くが困難な状況に直面しています。

 

新型コロナウイルス感染症は、中小企業者・小規模企業者の「既存事業」の外部市場環境を一変してしまいました。

 

先の事例で言えば、店舗で衣服を販売していた小売業やレストラン経営をしていた飲食業では、新型コロナウイルス感染症の影響で客足が遠のきました。

 

航空部品を製造していた製造業は、新型コロナウイルス感染症の影響で需要が減少し、得意先からの受注が急減しました。

 

いずれも、新型コロナウイルス感染症の影響で、「既存事業」がにっちもさっちもいかなくなった状況と言えそうです。

 

 

新型コロナウイルス感染症の影響が⻑期化しそうなため、「既存事業」を改善しても業績が回復する見込みが立ちません。

 

以前であれば、衣服の小売業なら、品揃えや販売価格を工夫したり、接客スキルを向上したり、店舗のレイアウトを工夫してお客様の導線を最適化したりすることにより収益を増やすことができました。

 

航空部品の製造業であれば、得意先からの要請に応え、品質を向上するとともに、短納期多品種少量生産で対応することなどにより収益を増やすことができました。

 

しかし、来客数や受注が急減している現状では、このような取組だけでは困難を乗り越えることはできません。

 

 

新型コロナウイルス感染症の影響が⻑期化する中では、「既存事業の改善」という方向性だけからはなかなか解答が見出せません。

 

そのため、「変革への挑戦」、すなわち、「事業再構築」が必要になります。

 

 

(1)発想の転換

 

 

第一のポイントは、「発想の転換」です。

 

 

「既存事業の延長線上で、今後の方向性を考えない」ことです。

 

これまで店舗でモノを売ったり、サービスを提供したりしてきましたが、これからは「店舗販売を大前提としない」といった発想の転換が必要になります。

 

これまで航空部品を製造してきましたが、これからは「航空業界の得意先を大前提としない」といった発想の転換が必要になります。

 

 

「思い切った事業再構築」という経済産業省/中小企業庁のキャッチフレーズには、「発想を転換し、既存事業の延長線上ではなく、思い切った事業再構築、すなわち『変革』に果敢にチャレンジしてほしい」という思いが伝わってきます。

 

 

(2)2軸で考える

 

 

第二のポイントは、「2軸で考える」ということです。

 

 

先の事例では、小売業や飲食業では店舗営業を縮小又は廃止してオンラインで商品を提供するというものでした。

 

抽象的に表現すると、「店舗からオンライン」という「新たな商品提供方法の展開」という軸での変革です。

 

製造業が航空部品ではなくロボット関連部品・医療機器部品を製造するというのは、抽象的に表現すると、「新たな事業分野への進出」です。

 

これらの事例は、「商品提供方法」や「事業分野」という軸からの発想です。

 

まずは、このような「発想の転換」が必要です。

 

 

しかし、これだけでは十分ではありません。

 

新型コロナウイルス感染症の影響が⻑期化する中で、大企業を含め、小売業や飲食業のオンライン販売への展開が増えています。

 

航空部品からロボット関連部品・医療機器部品製造へ進出すれば、それらを扱ってきた中小製造業等との新たな競争に巻き込まれます。

 

このような新たな競争環境の中で、多大な投資を回収するにはどうしたらよいのでしょうか?

 

このような課題に取り組む必要が生じます。

 

 

新たな競争環境の中で貴社が生き残っていくために、何が必要になるでしょうか?

 

新たな顧客が貴社に対して、何らかの「キラリと光ること」を感じてもらえるようにならなければなりません。

 

他社が顧客に提供できない価値を貴社が実現する必要があります。

 

モノやサービスの品質、提供価格、提供時間や納期など、顧客が貴社を他社と差別化する何らかの優位性、すなわち「第二の軸」が必要です。

 

 

(3)「強み」を活かす

 

 

最後のポイントは、「強みを活かす」ことです。

 

 

店舗営業を廃止してオンライン営業を展開するにあたり、他社が顧客に提供できない価値を貴社が実現するために、これまでに貴社が培ってきた何らかの「強み」を活かすことができないでしょうか?

 

航空部品からロボット関連部品・医療機器部品製造へ進出するにあたり、他社が顧客に提供できない価値を貴社が実現するために、これまでに培ってきた何らかの「強み」を活かすことができないでしょうか?

 

他社が提供できない価値を、貴社独自の強みを活かして顧客に提供しましょう。

 

 

 

3. 事業計画への落とし込み

 

 

事業再構築補助金をいただくためには、変革のストーリー、すなわち事業再構築の「事業計画」を作成し、申請し、競争的審査を受け、採択される必要があります。

 

「事業計画」は、既存事業を縮小し、新規事業を立ち上げるものになります。

 

大きな戦略を作成した上で、どのように実施するのかという具体的な計画を作成し、必要な経費を調べ上げて申請します。

 

 

事業計画はかなり複雑なものになると思われます。

 

貴社の事業計画作成に、ご協力させていただければ幸甚です。

 

 

 

【関連サイト】

 

 

経済産業省 「令和2年度第3次補正予算案の事業概要(PR資料)」 (令和2年12月)

 

 

製剤産業省 ミラサポPLUS 中企庁 事業再構築補助金【随時更新】