今更なんだと言われそうですが、8月4日から、「ものづくり補助金」の4次締切の公募が始まりました。
一方、採択結果は2次締切(5月20日)分まで公開されています。
申請数 :5,721者(うち特別枠:3,321者、通常枠:2,400者)
採択数 :3,267者(うち特別枠:1,773者、特別枠申請から通常枠:488者、通常枠:1,006者)
採択率は57.1%で極めて高くなっています。
実は、申請数があまり伸びていません。
私のところに来ている「ものづくり補助金」の引き合いの数も、例年よりも少なくなっています。
設備投資意欲が落ちてきているのでししょうか。
今年から通年募集になったため、申請が分散されたのでしょうか。
それとも…?
今年から「ものづくり補助金」の魅力が相対的に低くなっているような気がします。
特に東京都の中小企業の皆様にとってはそうではないでしょうか?
まず、補助上限額ですが、「ものづくり補助金」の「グローバル展開型」は3,000万円とまずまずなのですが、
①海外直接投資、②海外市場開拓、③インバウンド市場開拓、④海外事業者との共同事業、
のいずれかに合致するものという条件があります。
コロナ感染症の影響から、これらの条件を満たすような案件は、たいへん少ないのではないでしょうか?
一方、「ものづくり補助金」の「一般型」には、申請対象企業に上記のような制約はありません。
ただ、補助上限額は1,000万円とやや小さめです。
東京都には助成上限額が1億円の助成金もあり、見劣りします。
また、「ものづくり補助金」の「一般型」の補助率は、コロナ関連の「特別枠」では2/3~3/4ですが、「通常枠」では1/2です。
一方、後述するように、東京都には助成率が通常枠で1/2~2/3、特別枠で4/5というような助成金もあります。
以上から、少し高額の案件になると、ものづくり補助金よりも東京都の助成金のほうが助成額が大きくなります。
さらに、「ものづくり補助金」で、審査が有利になる審査加点を取ろうとすると、いろいろな負担が生じます。
都道府県に「経営革新計画」を申請して承認されると、成長性加点を受けることができます。
審査を有利にするために申請したいところですが、「経営革新計画」の作成にはかなりの手間がかかります。
「ものづくり補助金」と同じテーマで「経営革新計画」を申請することもできますが、
申請書の様式が独特のため、同じテーマで「経営革新計画」を作成しても、それなりに手間がかかります。
「事業継続力強化計画」を申請して認定されると、災害性加点を受けることができます。
「事業継続力強化計画」の作成には、「経営革新計画」ほどの手間はかかりません。
ただ、「事業継続力強化計画」の内容は、「ものづくり補助金」の申請内容とは関係がありません。
そのため、「事業継続力強化計画」の作成は、まったくの「二度手間」になってしまいます。
最後に、賃上げ加点があります。
加点の条件は下記のとおりです。
「給与支給総額を年率平均2%以上増加させ、かつ、
事業場内最低賃金を地域別最低賃金+60円以上の水準にする計画を有し、従業員に表明している事業者」
又は
「給与支給総額を年率平均3%以上増加させ、かつ、
事業場内最低賃金を地域別最低賃金+90円以上の水準にする計画を有し、従業員に表明している事業者」
です。
従業員の休業を行わざるを得ない中小企業も増えているこのご時世に、なぜ、賃上げに加点するのでしょうか?
まだ、アベノミクスの夢を追っているんでしょうか?
東京都の助成金には、「ものづくり補助金」のように、作成に手間がかかったり、経済的負担がかかったりするような加点項目はありません。
そのため、東京都の中小企業なら、「ものづくり補助金」よりも、東京都の助成金を優先的に検討したほうがよいのではないかと思います。
間もなく、大型設備投資のための助成金「第8回革新的事業展開設備投資支援事業」の募集が始まります。
募集締切は11月、助成限度額 1億円、助成率 1/2~2/3です。
また、同助成金のコロナ対応版「新型コロナウイルス感染症緊急対策設備投資支援事業」の募集も4月から継続されています。
こちらは、通年募集、助成助言額 1億円、助成率4/5です。
是非、「革新的事業展開設備投資支援事業」をご検討してみてください。