儲かる会社になる! 中小製造業編(1) 限界利益率を確認する

製造業の業績が低下しています。

 

2019年12月13日、経済産業省は、2019年10月分の製造工業生産能力指数、製造工業稼働率指数、鉱工業指数などを発表しました。これによりますと、製造工業生産能力指数は98.2(前年同月比-0.5%)、製造工業稼働率指数は95.8(前年同月比-8.6%)、鉱工業指数は生産が98.6(前年同月比-7.7%)、出荷が98.1(前年同月比-7.3%)、在庫が104.2(前年同月比+2.6%)、在庫率が113.4(前年同月比+9.5%)でした(https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html)。このように、前年同月と比較して、生産能力、稼働率が低下、生産、出荷が減少し、在庫、在庫率が上昇しています。これらの指数は、2015年=100とした場合の相対値なので、2015年と比較しても悪化していることがわかります。

 

川下の大企業の業績が悪化すると、川下の大企業を顧客としている中小製造業の業績も悪化します。川下の大企業からの受注が減少すれば、当然、出荷が減少、生産が減少して稼働率が低下します。かといって、中小製造業のほとんどは下請であり、自社の努力で受注額を増加させることもなかなかできません。祈るだけです。「来年度になれば景気が上向いてくれなるはずだ」というように、、、。

 

自社の努力で売上を増やすことが難しいとすれば、何を行うべきでしょうか。そうです、コストダウンですね。

 

今、日本では就業人口が減少しており人手不足です。そのため、賃金上昇の圧力があります。加えて、政府は賃金上昇を政策としています。設計や機械加工の外注単価や材料費が上昇していませんか? 自社の人件費が増加していませんか? 何も手を打たなければ、コストは少しずつ増加していきます。出荷が減少し、コストが上昇すればどうなるでしょうか? 当然、利益が減少します。赤字に転落します。資金繰りが悪化して借入が増えます。気が付くと、債務超過に・・・。

 

このような背景があるのでしょう。昨年度の下期からコストダウンや原価管理をテーマに支援を依頼されることが増えてきました。

 

 

コストダウンを考えるときに、ポイントのひとつになるのが、変動費と固定費を分けて手を打つことです。

 

変動費というのは、売上の増減に伴い増減する費用です。材料費、外注費、運送費などです。製品を生産するためには材料や外注が必要ですし、部品を取り寄せたり、製品を納品するのに運送費が必要になります。このため、売上が増えれば変動費も増えます。

 

変動費が増えても問題であるとは限りません。変動費が10%増加しても、売上が10%以上増えていれば問題ありません。

 

では、売上が10%しか増えていないのに、変動費が20%増えてしまったらどうでしょうか? そうです。収益性が悪化します。

 

問題になるのは、売上に対する変動費の比率(変動費率)が上昇する場合です。売上も変動費も10%ずつ上昇する場合は、変動費率は変わりません。しかし、売上が10%しか伸びていないのに、変動費が20%上昇すると、変動費率は上昇します。

 

昨年度の上半期までは、売上が増え、そのため利益も増えていた会社多かったと思います。しかし、売上が増えている間、変動費率はどのように推移していたでしょうか? 決算報告書の製造原価報告書を確認してみてください。売上高に占める変動費(材料費、外注費、運送費等)の割合は増え続けていたのではないでしょうか? 3期前50% → 2期前55% → 前期60% というようなことになっていませんか?

 

変動費率が上昇すると収益性が低下します。あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、売上高から変動費を差し引いたものを「限界利益」と呼びます。

 

 売上高 ー 変動費 = 限界利益

 

変動費率(売上高に占める変動費の割合)が上昇すると、限界利益率(売上高に占める限界利益の割合)が低下します。変動費率が 3期前50% → 2期前55% → 前期60% と上昇しているなら、限界利益率は 3期前50% → 2期前45% → 前期40% というように低下します。変動費率が上昇すると限界利益率、すなわち収益性が低下します。

 

限界利益率の上昇は深刻です。というのは、限界利益は固定費を支払うための原資になっているからです。限界利益と固定費の関係は次のようになっています。

 

 限界利益 ー 固定費 = 利益

 

固定費の中で最も額の大きいものは労務費でしょう。限界利益が減少して固定費の総額よりも小さくなってしまうとどうなるでしょうか? そうです、赤字です。

 

まず最初に行うべきことは、過去数期の限界利益率を確認することです。もし、限界利益率が低下傾向にあることがわかれば、早急に手を打たなければなりません。